歯科診療における院内感染対策 お問い合わせ

手指衛生

手指衛生は、すべての医療行為の基本であり、感染予防として最も大きな役割を果たします。
手指衛生には、「石けんと流水による手洗い」と「擦式アルコール手指消毒薬による手指消毒」の2つの方法があります。

・目に見える汚れが手指にあるときや、食事前、トイレの後は「石けんと流水による手洗い」
・目に見える汚れが手指にないときには「擦式アルコール手指消毒薬による手指消毒」

また、グローブ着用は手指衛生の代用にはなりませんので、外した後は、必ず手指衛生が必要です。

石けんと流水による手洗い

  • 石けんと流水による手洗い1
    手を濡らしてから、液体石けんを必要量手にとります。
  • 石けんと流水による手洗い2
    手のひらをこすり合わせて、十分に泡立てます。
  • 石けんと流水による手洗い3
    手のひらを合わせて、指の間まで洗います。
  • 石けんと流水による手洗い4
    両手の指の先を洗います。
  • 石けんと流水による手洗い5
    手の甲に手のひらを合わせて、指の間まで洗います。
  • 石けんと流水による手洗い6
    親指を手のひらで包むように指の先まで洗います。
  • 石けんと流水による手洗い7
    手首をもう片方の手で包み、ねじり洗いをします。
  • 石けんと流水による手洗い8
    流水で十分にすすぎ、ペーパータオルで完全に水分を拭き取ります。

擦式アルコール手指消毒薬による手指消毒

  • 速乾性擦式アルコール製剤による手指消毒1
    消毒する範囲が15秒以内に乾かない十分量のアルコールを手にとります。
  • 速乾性擦式アルコール製剤による手指消毒2
    手のひらを丸めて液をため、指先をアルコールに浸します。
  • 速乾性擦式アルコール製剤による手指消毒3
    反対の指先も同様に浸します。
  • 速乾性擦式アルコール製剤による手指消毒4
    手のひらを合わせて指の先まで擦りこみます。
  • 速乾性擦式アルコール製剤による手指消毒5
    さらに指の間にもよく擦りこみます。
  • 速乾性擦式アルコール製剤による手指消毒6
    手の甲に手のひらを合わせて、指の間に擦りこみます。
  • 速乾性擦式アルコール製剤による手指消毒7
    親指を手のひらで包むように擦りこみます。
  • 速乾性擦式アルコール製剤による手指消毒8
    手首をもう片方の手で包み、ねじるように擦りこみます。

個人防護具 PPE:Personal Protective Equipment

個人防護具の着用目的は、次の3つです。

・医療従事者が患者から感染するリスクを減らします。
・医療従事者の持つ微生物が患者へ伝播することを防ぎます。
・患者から患者へ医療従事者を介して微生物が伝播することを防ぎます。

処置中の患者の血液やだ液などの飛散に対して、適切に個人防護具を着用します。また処置以外でも、使用後器材の洗浄・消毒・滅菌の際に、器材に付着した微生物への曝露を予防するため、個人防護具を適切に活用することが重要です。

器材洗浄時の個人用防護具着用例

サージカルマスク・ゴーグル・フェイスシールド

医療従事者の眼・鼻・口腔の粘膜に血液やだ液が飛散し、病原体が伝播することを防止します。マスクやゴーグルは、鼻や頬との隙間のないものを使用します。日常かけている眼鏡はゴーグルの代用にはなりません。診療時や器材の洗浄など、血液などに曝露する可能性がある場合に着用します。処置後のマスクの表面は、汚染されているものと考え、マスクの表面に触れないように注意しましょう。

ガウン・エプロン

切削器材・スケーラーなどの使用や器材の洗浄などで、血液・だ液などが飛散する場合や衣服が汚染する可能性のある場合に着用し、患者ごと、作業ごとに交換します。水分を透過しないビニール製のものを選択すること、作業中および除去時はガウン・エプロンの表面には触れないよう注意しましょう。

グローブ

診療時、手指が血液やだ液に曝露する可能性がある直前にディスポーザブルグローブを着用し、患者ごとに交換します。同じ患者でも治療が異なる場合やピンホールなどの破損が見られた場合には、交換します。また、カルテやX線機器、モニターなどの環境表面に触れる場合は、汚染の拡大を防ぐためにグローブを外し、再度処置する場合は新しいグローブを使用します。器材洗浄時には、穿通防止のため厚手のグローブを使用します。また、グローブをつけたまま手を洗ったり、擦式アルコール手指消毒薬を使用することは衛生上、行ってはいけません

    <ディスポーザブルグローブの外し方>
  • 器材洗浄時の個人用防護具着用例1
    使用後のグローブは外す際にまず片手の指先でグローブの表側をつまみます。
  • 器材洗浄時の個人用防護具着用例2
    そのまま裏返すように外します。
  • 器材洗浄時の個人用防護具着用例3
    外したグローブはそのまま掴みます。
  • 器材洗浄時の個人用防護具着用例4
    外した手の指先をグローブの内側に入れます。
  • 器材洗浄時の個人用防護具着用例5
    そのまま裏返すように外します。
  • 器材洗浄時の個人用防護具着用例6
    裏返したまま掴んで廃棄します。
個人防護具を外した後は、すぐに手指衛生を行います。