歯科医療器材の洗浄・消毒・滅菌 Q&A
- グローブをしたまま手洗いや手指消毒をしても大丈夫ですか?
- グローブをしたままでの手洗いや手指消毒では、微生物を確実に除去することはできません。また、石けんや消毒薬の刺激によりグローブが劣化し、微細な穿孔などを生じ、手指衛生が保たれなくなります。
- 手袋の交換のタイミングはいつですか?
- 患者ごと、汚染したとき、破れたときに交換します。カルテやX線機器、モニターなどに触れる場合は手袋を外し、再度処置する場合は新しい手袋を着用します。
- グローブを外したときに手洗いは必要ですか?
- グローブを着用することは、汚染を最小限にすることができますが、着用中に起こる手袋の破損や外す際に汚染する可能性があります。グローブを外した後は必ず手指衛生が必要です。
- 眼鏡をしていれば、ゴーグルやプロテクターは不要ですか?
- 血液やだ液の飛散は、正面以外にも脇から起こる可能性があります。眼の粘膜を確実に保護するためには、眼鏡の上からゴーグルやプロテクターを使用してください。
- 洗浄・消毒時に布のエプロンでも大丈夫ですか?
- 布エプロンでは、汚染を吸着してしまうので、防護効果はありません。洗浄・消毒時に患者の血液・体液などの付着した器材からの飛沫による衣類や皮膚の汚染、交差感染を防ぐために撥水性のビニールエプロンを使用します。
- 器材はすべて滅菌しなければならないですか?
- 診療に使用する器材は使用用途に応じて処理方法を決定します。処理方法の指標にはスポルディングの分類を用いるのが効果的です。
- 消毒してから滅菌をした方がいいですか?
- 滅菌によりすべての微生物を殺滅することができます。滅菌前に消毒は必要ありません。滅菌前に固着した血液・タンパク質などを洗浄で除去することが大切です。
- プレバキューム式のクラスBオートクレーブは必要ですか?
- 複雑な形状の器材やハンドピースなどを滅菌パックで包装して滅菌するのであれば、クラスBのプレバキューム式のオートクレーブが必要です。またインプラントや外科処置などの「観血的処置」をされる場合には、必要と考えるべきでしょう。従来の重力置換式と呼ばれる高圧蒸気滅菌器(クラスN)の場合、チューブ形状の器材やハンドピースなどを滅菌パックに入れて滅菌すると内腔に残る空気により滅菌蒸気が届きににくく、滅菌が不十分になります。繰り返し吸引するプレバキューム式では、細部の空気が抜かれ、蒸気が細部まで確実に届くことで滅菌ができます。
- 消毒薬を使う際に注意することはありますか?
- 消毒薬は添付文書に記載されている濃度・温度・浸漬時間を守ってください。一般的に消毒薬は高濃度で販売されているので、使用直前に希釈する必要があります。希釈した消毒薬は時間の経過とともに濃度が低下するので、長期保存はできません。長期間保存できる消毒薬には専用の濃度測定用テステープがありますので、使用前に適切な濃度が維持されているか確認します。また、洗浄後の器材を消毒液に浸漬する際は、十分に水分を切らないと適切な濃度が維持できません。
- 汚染された器材に直接アルコールを使用することは有効ですか?
- アルコールにはタンパク質を凝固させる作用があり、汚れが落ちにくくなるため有効ではありません。まずは洗浄を行います。
- 洗浄にはウォッシャーディスインフェクターと超音波洗浄器の両方が必要ですか?
- どちらも必要です。洗浄の種類は大きく4つあり、汚染の程度や器材の性質によって有効な洗浄方法が異なるため、適切に使い分けることが重要です。