まるちよ歯科医院

まるちよ歯科医院
北海道北見市清月町 医療法人社団 大縁会

2004年北見市にて開業の日本でも有数の大型歯科医院

「まるちよ歯科医院」は2004年北見市にてユニット3台、スタッフ3名で開業。その後、2016年に同市内に新築移転し、現在スタッフの人数は44名にまで増員。日本でも有数の大型歯科医院となっている。また、訪問診療も常時稼働しており、地域の通院困難な患者さんにも歯科医療を提供している。

3つの待合室を持つ大型歯科医院案内システムで患者さんスムーズに迎える

 

 「まるちよ歯科医院」の医院レイアウトの最大の特徴は、3つの待合室を有するところだ。一般の診療用となるメイン待合室、メインテナンスでの来院者用の中待合室、そして保育士が常駐するキッズスペースに隣接した小児用の待合室だ。メインテナンスと小児歯科に特に注力したいという思いから、移転時にそれぞれを独立させたのだという。
 大型の歯科医院であり、待合室が3つあるという構造から、開院時から院内の案内システムを導入していたが、新たに自動精算システムのNOMOCa-Standを導入するのにあわせ、案内システムをNOMOCa-Guide type Gに切り替えた。
 来院した患者さんは診察券をカードリーダーに通し、受付スタッフが指定した待合室に移動。スタッフは診療の準備が整ったら案内画面で患者さんを診療室に呼び、診療を行う。会計の準備が整ったら再度案内画面で患者さんを受付に呼び、患者さんはQRコードを受け取る。患者さんはそれを利用して自動精算機で精算する、というのが来院からの主な流れとなる。
 受付の専任スタッフが複数人常駐している「まるちよ歯科医院」だが、それでも電話対応や受付、会計が重なる忙しい時間帯になると、待合室が患者さんであふれることがあった。システムの導入はスタッフの省力化、患者さんの待ち時間軽減につながり、医院のスムーズな運営に大いに奏効しているという。

 

 

“まるちよ”の意外な原点

 

 理事長の佐藤大一先生は、カーリングで有名な旧常呂町出身。実家は地元で愛されるスーパーマーケットを営んでおり、「まるちよ歯科医院」の「まるちよ」はそのお店の名前である。将来家業を継ぐつもりでいた佐藤先生は、お店を発展させるためにはどうしたらいいか考えを巡らすようになった。
 「お店の発展のためにスーパーにドラッグストアを併設させられたらと思い、最初は薬剤師になろうと考えていました」
 佐藤先生は、薬剤師になるべく医療について勉強を進めるうち、地域の役に立ち、健康に寄与する歯科の重要性に目覚め、しだいに歯科医師の道を志望するようになったという。
 佐藤先生は日本歯科大学新潟歯学部を卒業すると、5年間勤務医として研鑽を積んだ。勤務医時代のモットーは“借金してでも勉強する”で、さまざまな勉強会に通い、矯正、インプラント、小児、あらゆる技術の習得に努めた。結果として、この期間に学んだことがその後に活かされることになった。29歳の若さで開業すると患者さんが殺到。当時近隣医院では矯正やインプラントなどに積極的に取り組んでいたところがほとんどなく、差別化できたことがプラスに働いたそうだ。その後も患者さんは順調に増え、大型歯科医院にリニューアルし、地域の多くの患者さんを支えることとなった。リニューアルのコンセプトは「総合病院のような歯科医院」であり、行き届いた診療とホスピタリティを提供するため、院内設備やスタッフの充実を図っている。

 

 

ゆりかごから旅立ちまでいつも患者さんのそばにいる歯科医院

 

 「まるちよ歯科医院」では、患者さんのどのライフステージにおいても寄り添える歯科医療を目指している。
 「妊娠時のマタニティ歯科から、家族の成長をずっと見守って、ご高齢になって訪問診療まで、まさに『ゆりかごから旅立ちまで』いつもそばにいる歯科医院でありたいと思っています」
 完全バリアフリーの院内レイアウトや、充実させたキッズスペースなどからも、佐藤先生のイメージする歯科医院の姿がうかがえる。

 

 

人材の育成を通じて地域の医療を全体をフォローしたい

 

 雇用難の時代に集まってくれた44名のスタッフをいかに育て、医院を成長させていくか。佐藤理事長はこの課題にも明確なコンセプトを持っていた。
 「毎月第3木曜日を休診にして、その時間を勉強に充てています。講師を招いて勉強会を開くこともあります」
 自身の勤務医時代は休日返上で勉強会に参加していた佐藤先生だが、経営者の立場からは同じことをスタッフには求めず、むしろ「これからは給料を払って勉強をさせる時代」と考えている。診療の質を保つためにはこういった人材育成が必要であり、また、先生が描く未来像にもつながっていくという。
 「私は、本当にこの町のために頑張っているという意識があります。そう考えると、私たちの歯科医院に多くの患者さんが来ていただけることはありがたいのですが、選択肢がここだけしかないという状態は患者さんにとっていいことだとは思えません。ですから、しっかりとした人材をここで育て、卒業した人材がゆくゆくはこの町で歯科医院を開業し、ともに切磋琢磨しながら地域の歯科医療を盛り上げていければいいなと思っています」

 労働人口が減少し、地域医療の存続が危ぶまれつつある中で、大型の歯科医院を運営して地域の患者さんを支えつつ、さらにはふるさとの医療全体の活性化も望む。佐藤先生と「まるちよ歯科医院」は、これからに向けて、今日も奮闘している。