食べられる口と歩ける足で健康をサポートする画期的な歯科医院が誕生
食事・咀嚼・消化吸収・歩行を総合的に管理する
「28CliniC 南青山」。歯科から始まる予防の取り組みをスタートした。
代々続く歯科医院を一新し予防クリニックとして開業
華やかな表参道の街を抜け、閑静な住宅地に入るとほどなく28CliniC 南青山の看板が現れる。門かつぎの松が出迎えるこの日本家屋は、本当に歯科医院なのだろうか。奥へと続く石畳を進んでいくとガラス戸の向こうに受付と歯科用ユニットが見える。間違いなく、ここは歯科医院だ。
28CliniC 南青山の院長を務める野上宏明先生は、1933年に開業した野上歯科医院の3代目。2015年に2代目から事業を継承し、埼玉県熊谷市に28CliniC 野上歯科医院を移転開業。続いて、2019年に分院という形で東京に28CliniC 南青山を開業した。医院名の「28」は、親知らずを除いて完全な状態の永久歯の数。CliniCの2つの大文字の「C」は、歯列をイメージしている。
28CliniCの特長は、歯科医院に内科、メディカルフィットネス施設、カフェを併設している点にある。予防に重点を置き、う蝕や歯周病などに罹患しないよう口腔内を管理するとともに、分子栄養学に基づき全身の免疫力までコントロールする。さらに歩き方や姿勢を正すことで、生涯にわたり自分の歯で食べ、消化し、歩けるように、総合的なアプローチを診療コンセプトとする予防クリニックなのだ。
「かつて歯科治療の中心はう蝕でした。ところが昨今は若い世代のう蝕が減少しています。これは、歯科界の努力と生活者の歯への意識の高まりが実を結んだ結果です。しかし、見方を変えると歯科治療が減っているということ。つまり、歯科医院は病気でない人が通うところへと変化しつつあるのです。
一方、日本社会に目を向けると、医療費などが40兆円を超え、今後も増大が予想されています。研究が進み、口腔内の細菌をコントロールすることによって高血圧、糖尿病、心疾患を予防できることがわかってきましたから、これからの歯科医院は治療から予防へシフトし、健康管理のお手伝いをする時代になるのではないでしょうか」と、野上先生は語る。
原動力は“やりたいことをとことん追求する性格”
野上先生が予防クリニックという視点を持った背景には、16年に及ぶ勤務医としての経験が色濃くある。勤務先の院長先生は、米国で予防審美歯科を学び、これを追求するために歯科治療だけでなく全身の状態から生活習慣に至るまで目を向けていたのである。そのことを野上先生は院長先生から徹底的に学び、そこで副院長・総合診断医として培った経験が、現在の野上先生の診療コンセプトのベースとなっているのだ。
既存の枠を超えた歯科医院の開設を実現に導いた原動力は何かと尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「性格だと思います。私は、やりたいことを突き詰めるタイプなので、自分がやりたいと思ったことを、とことんやらないと気が済まないだけです」
野上先生の趣味はトライアスロン。趣味といってもトレーニングを重ねてロング・ディスタンス(スイム3.8km、自転車180km、ラン42.195km)に出場するほどレベルが高い。レース前は栄養補給の仕方(咀嚼)から身体の使い方(筋力)まで気を配り、パフォーマンスを上げた。自らが診療コンセプトを実践し、その効果を、身をもって体験しているのだ。
歯科の臨床も同じだと言う。「トップレベルの技術を身に付けたいと思ったから技術を磨きました。磨き続けるうちに、予防の大切さに気づいたのです。痛い、辛い治療を望む人はいません。治療せずに済めば、そのほうがいいのです」と野上先生の信念は強い。
診療コンセプトの普及を目指す
28CliniCには、診療コンセプトに共感した人たちが数多く来院している。南青山分院は自費診療のみ提供しているが、保険も自費も取り扱う熊谷本院でも9割が自費診療を選択しているそうだ。
わずか4年の間に、熊谷本院の移転開業から南青山の分院開業まで実現した野上先生。「今後10年間で蓄積したノウハウを基にコンサルティングを提供し、28CliniCとコンセプトを同じくする歯科医院を増やしていきたい」と、ビジョンを描く。歯科から始まる予防の普及に向けて、野上先生は走り続ける。