歯科のイメージを覆した空間で
確かな診療を展開する
湘南の地にて、2024年5月に開院した「寒川駅前ファースト歯科」。
歯科医院らしくない雰囲気で、地域の患者さんを迎え入れる意図とは。
歯科は人生を左右する
だからこそ気軽に来てほしい
人気観光スポットである茅ヶ崎にほど近い寒川駅を降りてすぐ目の前。駅前広場に面した建物の1階テナントに「寒川駅前ファースト歯科」がある。
「歯科を怖がる子供のために歯科医院らしさを抑えた歯科医院はよくありますが、歯科が苦手な大人を意識した歯科医院はあまりありません。そこで、大人も心地良く来院できる、“らしくない歯科医院”を形にしました」と話すのは院長の岡本駿吾先生。確かに外からは診療室などが見えにくく、ネオンサインや手書きの立て看板で飾られていて、一見では実に歯科医院らしくない。
「歯が健康ならよく噛んで美味しく食べられますし、歯並びが整っていれば自信を持って笑えます。そういった面からも歯科は人生を左右する仕事だと思っているのですが、これは美容師の仕事ともよく似ていますよね。数ヵ月に1回美容院に通うように歯科医院にも来てもらえるよう、ハードルを低くしたいと考えました」
カフェをコンセプトに医院を設計
患者さんが足を運びやすい歯科医院を目指し、岡本先生がコンセプトに選んだのはカフェである。手本とするカフェなどに足しげく通い、店内のレイアウトからインテリア、BGMに至るまで研究し練り上げた。
こうして生まれたのが、診療エリアの中心に、アイランドキッチンのように消毒・滅菌・技工のスペースを設置するアイディア。多くの歯科医院ではバックヤードに位置付けられる部分をオープンにするという思い切った構造だが、その背景にはあえて人目に触れるようにすることで清潔を保ち、患者さんもスタッフも気持ち良く過ごせるようにする狙いがある。
このスペースを囲む診療エリアは個室とパーテーションで区切られた診療ブースからなり、いずれもイオム アクアを導入。もともとは他社のユニットを検討していたが、イオム アクアは歯面清掃器のエアフローを内蔵できることを知って変更したという。また、これをきっかけにジーシーに対する印象が変わり、さらに営業担当者の熱心さやレスポンスの良さを高く評価して、ほかの大型機器にもジーシー製品を選んでいる。
研鑽を重ね、集大成の開業へ
岡本先生のご実家は、石川県で歯科医院を営んでいる。自宅が医院であり親が働く姿を見て育ったこともあって、幼少のころから歯科医師を志していたという。
卒後は神奈川県内の複数の医院に勤務して経験を積んだが、その際はそれぞれの医院ごとに異なる目標を持ってステップアップを図ったそうだ。たとえば、外科の技術力が高い医院では、技術を習熟しつつ診療のスピード感も身につけた。自費診療を学ぶべく勤めた医院では、後に院長も務め、マネジメントや経営への理解を深めた。満を持してとなる今回の開業は、岡本先生のこれまでの集大成だと言えよう。
人と人とのつながりを大切に
「寒川駅前ファースト歯科」では、岡本先生が培ってきた技術を活かしてオールラウンドの診療を提供している。また、 スタッフについては確固たる考えを持っており「平均レベルのスタッフは採用しません」と言い切る。選りすぐりの精鋭で歯科医療に邁進する理由は、訪れた患者さんを一人でも多く救いたいという思いの表れにほかならない。
患者さんの数は開業から順調に増えており、意図したとおり、カフェのような見た目が大きく影響しているそうだ。そして、見栄えでつかんだ患者さんをつなぎとめる鍵は“人”にあると岡本先生は考えている。
「患者さんは人を見ていると思うのです。人間味のある会話や治療を通じて、人と人とのつながりを大切にしていきたいです」と力強く結んだ。
心地良さに確かな技術と人間味が融合する「寒川駅前ファースト歯科」。今後はコーヒーの香りを取り入れるなど、さらなる進化も模索しているという。岡本先生ならではの歯科医院のあり方が確立する日は、もうそこまで来ているようだ。