歯科は“愛”の仕事父の言葉を胸に患者さんと向き合う
「奥村歯科医院」は、2018年12月に大阪市東住吉区に開業。
丁寧な説明と真摯な診療で患者さんの心をつかんでいる。
叱咤激励を受けながら開業の道へ
漆喰の白壁に、コンセプトカラーの青と黄色を基調とした色ガラスがあしらわれた建物は、新進の院長が率いるにふさわしいモダンな様相である。
「奥村歯科医院」の院長・奥村元先生は、日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、大阪市内で5年間勤務医として研鑽を積んだ。
奥村先生が歯科医師として最も影響を受けたのは、同じ大阪市内で開業し活躍している父だという。自分も地域に貢献できる歯科医師になりたいと、スペシャリストよりもジェネラリストを目指して広く見聞を深めてきた。
「父からは、開業はものすごく大変だからお前も一回苦しんでみろ。頑張ってやってみろと言われました」と、開業当時を振り返る奥村先生。その言葉をかみしめ、院長としての道を歩み始めた。
良いものを取り入れつつ変わらぬ信念で進む
「奥村歯科医院」の開業地は比較的歯科医院の多いエリアで、父に言われた言葉を胸にチャレンジしようと、この地を選んだ。 開業するにあたり奥村先生は、知人や同時期に開業した大学の友人などから情報を集め、良いと思われることは何でも吸収し、取り入れていくようにした。例えば、院内の機器をジーシー製品でそろえたのは先達の薦めによる後押しが大きかったという。ユニットには、患者さんを導入しやすいイオム レガロのフロアマウントタイプを選ばれた。また、少しでも地域の患者さんに「奥村歯科医院」の良さを知ってもらおうと、SNSなどでの情報発信も積極的に行うようにした。
それと同時に、自分が歯科医師として大事にしていることをもう一度見つめ直した。奥村先生が一番大事にしているのは、患者さんへの丁寧な説明である。
「診療の数をこなすことも重要ですが、私は患者さんと同じ目線で向き合い、時間をかけてでもお一人お一人にあった治療法を提案していきたいのです」と、信念を語る奥村先生。この信念が、患者さんに響いた。
安心の小児歯科手厚い説明がお母さん方から評価
奥村先生の信念が最初に響いたのは小児歯科、とりわけ患児のお母さん方だった。
「奥村歯科医院」の周辺地域は住宅街で幼稚園や小学校が多く、来院する患者さんは5歳から9歳くらいの子どもの割合が高い。小児の患者さんにう蝕のケースは少なく、8~9割に歯列不正が認められるという。その原因はさまざまで、指吸いや爪噛みなど習慣によるものもあれば、顎の筋肉が未発達な場合もある。
奥村先生は、生活習慣や食生活などを丁寧にヒアリングし、患者さんの状態を見極めて、生活改善や口腔機能の訓練を促している。具体的には、『前歯で噛むようにしてください』『歯ごたえのあるものを食べさせてください』『野菜のカットを大きくして噛む回数を増やしてください』といった食事に関するアドバイスや、MFT(口腔筋機能療法)の訓練方法の指導などである。
そして、小児の患者さんに対しても、奥村先生の信念は貫かれている。
「お子さんはぐずったり泣いたりすることもあるのですが、それでも決して怒らず、粘り強く丁寧に接するようにずっと心がけてきました。それがいま活きていると思います」
こうした奥村先生のまっすぐな診療の姿勢がお母さん方の支持を得て、「奥村歯科医院」の良さが口コミで広がり、患者さんが新しい患者さんをつれてきているそうだ。
歯科は“愛”の仕事託された大切な言葉
「奥村歯科医院」のエントランスには、『Dentistry is a Work of Love』という大きな書が飾られている。歯科医療に携わる者の座右の銘として大切にされている、思想家・内村鑑三の言葉だ。この書をしたためたのは奥村先生のお父様だった。
開業にあたって、お父様は「苦労をしてこい」と厳しい言葉で奥村先生を送り出した。しかし、送った言葉はそれだけではなく、歯科医師として大切なことを息子に託していた。それは“愛”だ。患者さんへの愛、医院スタッフへの愛、時には歯科技術への愛かもしれない。この言葉は、開業という険しくも実りある道を歩む、奥村先生の大きな支えとなっている。