予防歯科を診療コンセプトに開業。着実に地域に根付いていく歯科医院
鹿児島湾に面し、正面には桜島が見える。
南国の風が心地良い鹿児島県姶良市の一角に「まえだ歯科」が開業した。健康長寿を支える予防歯科の浸透を目指す。
診療スタンスは“予防が中心”
鹿児島市に隣接する姶良市。鹿児島市のベッドタウンとして、そして子育てに力を入れている地域として、若いファミリー世代が年々増加している話題の地区である。「まえだ歯科」はそんな姶良市の新しい住宅地に、2017年12月に開業した。
院長の前田文人先生は、徳島大学歯学部を卒業後、地元の鹿児島に戻り勤務医として治療技術の研鑽に励んできた。「治療した歯が長持ちして患者さんから感謝されることが何よりもうれしいです。しかし、思うような結果が得られないということにも直面してきました。人によってはう蝕や歯周病になりやすい方もいて再発します。何とか良い予後を提供したいと悩みました。行きついたのが予防でした。治療だけではなく予防こそ重要だと痛切に感じ、開業するなら予防中心の診療所にしたいと思うようになりました」。
「まえだ歯科」は予防中心の診療スタンスという明確なコンセプトでスタートした。
小さな子供をもつお母さんが安心して通えるように保育士を常駐
予防を主体とする医院を実現するために、一歩ずつ進まれている。「初診の患者さんには、唾液検査をして予防の大切さをお伝えします。なかには、痛みのある箇所だけでいいと言う方もいます。それでも、じっくりと時間をかけてお話することで納得してくれます。また、いざ開業してみると勤務医時代には考えられなかった問題もでてきました。治療以外のこともスタッフみんなで話し合い、改善するという繰り返しで、ようやく今日まで来ているといった感じですね」と前田先生。先生の奥様の真珠実さんは歯科衛生士として、予防歯科中心のクリニックに勤務されていた。現在は「まえだ歯科」の大きな支えとなっている。
診療室はパーテーションで仕切られた治療用のエリアと、2つの個室で構成された予防用のエリアに分けられ、ユニットは全て「イオムレガロ」が導入されている。治療用にはオレンジのシートカラー、予防用は壁の色にあわせてライトブルーとワインレッドのシートカラーを選ばれた。診療室の奥には保育士が常駐するキッズスペース以外にも保育室を備えている。
「お子さんがいるファミリー世代のために保育室を備え、保育士を常駐しています。安心できる保育室があると小さな子供がいるお母さんも来院しやすいですし、そのことでご家族の皆さんにも通っていただきたいと思っています。もちろん、スタッフの子供も預かれるようにしていますので、若いスタッフにも安心して働いてもらいたいですね。また、食事指導やう蝕予防のための親子教室も随時開催しています。小児のための健全な咬合誘導には特に力をいれています」
開業当初から若いファミリー世代に向けた予防に徹したことで、患者層は子供とそのお母さんが一番多いという。
将来まで考えて医院を設計
前田先生は将来のビジョンをしっかりと見据えられている。「隣の土地も購入しました。増築して、大人用と子供用、治療用と予防用のスペースをさらに拡充させていきたいと考えています。休診日の木曜日には訪問診療も行っているので、往診専門のスタッフも充実させていきたいです」と語られる。
医院拡大を実現するためにも、消毒・滅菌コーナーは十分なスペースを確保し、クラスBの「バキュクレーブ31B+」と「メラクイック12+」が導入されていて、ウォッシャーディスインフェクターの追加も予定されている。さらに、X線CT診断装置としてプランメカ社の「プロマックス3D Plus」を備える。
地域とともに成長し、地域の主治医をめざす前田先生。優しい表情の奥には、健康長寿を支える予防中心の歯科クリニックを目指すという固い意志が感じられた。