GCロゴ

ホワイトニングの疑問解決!
医療ホワイトニングのカウンセリング内容とは?

歯科医師監修

医療ホワイトニングコラム

医療ホワイトニングについて効果や
よくある質問などを全国の歯科医師・
歯科衛生士がわかりやすく解説します。

医療ホワイトニングコラムのイメージ画像 医療ホワイトニングコラムのイメージ画像

はじめに

みなさん、こんにちは。歯科衛生士の植松裕美です。私の勤める日本歯科大学附属病院ホワイトニング外来では、20代から70代まで幅広い年代の方に医療ホワイトニングを行っています。年齢や性別など関係なく、もっと健康的になりたいと願う方や、口元に自信を持つことにより性格が前向きになる方が益々増えてくれたら嬉しいなと思いながら日々、医療ホワイトニングを行なっています。

現在、歯のホワイトニングには様々なものが出回っております。「医療ホワイトニングとは何?」「医療と非医療の差は?」「それらの効果に違いはあるの?」など、悩まれている方も多数いらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、歯のホワイトニングを希望される方に行うカウンセリングの内容をお伝えするとともに、医療ホワイトニングの手順についてもご紹介いたします。ホワイトニングに興味をお持ちの方がこのコラムをご覧になり、安心して受診するキッカケとなれば幸いです。

2ホワイトニングの手順

医療ホワイトニングと非医療ホワイトニングの違いは、ホワイトニングに使用する薬剤と機材の違いにあります。医療ホワイトニングは、歯科医師または歯科医師の指示のもと歯科衛生士が、医療機器製品(ホワイトニング材や医療用ライト)を用いて、施術もしくは管理しながら歯を漂白する医療行為です。治療前には必ずカウンセリング・検査・診断を受けていただきます。これらを踏まえた治療計画に同意をいただいた方にホワイトニングを行い、得られた効果を判定するのが一般的な手順です。ここからは、その手順についてご説明いたします。

3まずはカウンセリング

3-①ヒアリング

ホワイトニングを希望されたら、皆様にはまずカウンセリングを受けていただきます。「なぜ話をする必要があるの?」、「ホワイトニングするって、もう決めているのに…」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、皆様の希望、お口の状態、身体の状態に合わせて最適なホワイトニング方法を選択するためにカウンセリングは必要です。実は、希望される全ての方が医療ホワイトニングを受けられるわけではない、ということをご存知でしょうか?医療ホワイトニングに用いるホワイトニング剤(過酸化水素・過酸化尿素)は100年以上歴史がある薬剤ですが、この薬剤を使ってはいけない方や、使用に際して注意が必要な方もいらっしゃいます。我々は安全なホワイトニングを皆様にご提供するために、主に下記の内容をお聞きします。ぜひ歯科医院へ行く前に、確認してみてください。

質問項目(確認する項目)

  • 年齢、住所、職業、生活習慣など
  • 身体のご病気のこと、飲んでいるお薬のことなど
  • 妊娠中や授乳中か、またその予定があるか
  • よく口にするもの(飲食物・タバコ・うがい薬など)
  • 知覚過敏症状があるかどうか
  • 今回ホワイトニングを希望したきっかけ
  • いつまでに、どのような白さにしたいか
  • ホワイトニング経験の有無
  • (経験がある場合)いつ頃、どの位の期間、どのような方法で行ったか、効果があったかどうか

3−②治療方法の説明

皆様からお話を伺った後に、ホワイトニングの方法とその特徴についてご説明いたします。広い意味の「ホワイトニング」には、皆様がイメージする歯の漂白(医療ホワイトニング)だけでなく、茶渋やヤニなどの歯の表面に付着したステイン(色素)を除去することや、歯を削って人工の歯を被せる治療など多くの処置が含まれます。今回は、ホワイトニング材を使用する医療ホワイトニングのホームホワイトニングとオフィスホワイトニングについてご説明いたします。

【ホームホワイトニングとは】

歯の型取りをして作ったご自身専用のホワイトニング用トレー(カスタムトレー)にホワイトニング剤を注入し、1日に2時間ほど装着することが一般的です。じっくり時間をかけて歯の色を少しずつ明るくする方法です。薬剤入りのトレーを装着しないと歯の色は変化しません。カスタムトレーの装着中に飲食はできませんが、通勤時間中やお風呂に入りながらなど、「ながら」で行うことも可能です。装着に慣れると話すこともできます。カスタムトレーは歯並びや人工物(治療による詰め物や被せ物など)の変化がない限り2~3年間使用できます。そのため、薬剤を追加購入することでホームホワイトニングを継続することが出来ます。

【オフィスホワイトニングとは】

 歯科医院や病院歯科で歯科医師又は歯科衛生士が、歯の表面に高濃度のホワイトニング剤を塗布し、光を当てます。効率よく薬剤を作用させて、歯の色を一気に明るくする方法です。手早く・効率的に行いたい方、自分でトレーを装着するのが面倒な方に向いています。1回あたり60~120分程度の処置を何日か繰り返します。一方で、1歯ずつ対応することが可能なため、ホワイトニングを行う歯が少ない(例えば、被せ物が多い、入れ歯があるなど)場合にオフィスホワイトニングを選ぶ方も多いです。

いずれの方法も長く続けていけば、ほぼ同じ白さになります。またオフィスホワイトニングとホームホワイトニングを組み合わせて行うデュアルホワイトニングという方法もあります。

医療ホワイトニングを安全に受けていただき、良好な結果を導くためにも、カウンセリングは非常に大切な時間です。我々の説明を聞いて不明な点がある場合、些細なことでも構いませんので遠慮なくご質問ください。

4医療ホワイトニングできるかな?(検査・診断)

カウンセリングの次はお口の検査を行います。むし歯や歯のヒビは知覚過敏症状の出現に、歯周病や歯磨きの状態は薬剤の効果減弱に、歯並びや顎の痛み・口を開けられる大きさはホワイトニング方法の選択に対して、影響する可能性があります。

そして歯の色を確認します。歯の変色理由が表面の着色汚れなのか、加齢に伴う歯の黄ばみなのか、テトラサイクリン系抗菌薬を使用したことによる変色なのか、その他の要因なのかなど、その理由を検査します。またホワイトニングの対象となるのはご自身の天然の歯で、治療による詰め物や被せ物など人工物には効果がありません。ホワイトニングによって天然の部分のみ色が白くなることで、色が変わらない人工物の部分がかえって悪目立ちすることもあります。状態によっては人工物を新しいものに入れ換える必要があるため、予めその部位や範囲も検査します。

歯科医師による詳細な検査は、安全で効果的な医療ホワイトニングを行う上で欠かせません。このお口の検査結果から、ホワイトニングが出来るかどうか診断し、皆様に合った治療計画をご提案いたします。その治療計画について説明を受けていただいた後に、治療同意書へご署名いただいたら、まもなくホワイトニング開始です!

5記録を取って覚えておこう

「やっと歯を白くできる!」と思われると思いますが、もう1ステップお待ちください。行うことは専門的色彩記録です。ホワイトニングの効果を確認するために、治療の前後にお口のカラー写真撮影や計測器を用いた歯の色の数値化を行って記録します。人の記憶とは曖昧なもので、ホワイトニング前の歯の色を忘れてしまうことがごく当たり前に起こります。治療期間が長くなればなるほど、最初の色を忘れてしまいます。

また、タッチアップ(再ホワイトニング)の際は、ホワイトニングを終了した時点の色と、数ヶ月〜数年たった現在を比較して決定するため、ホワイトニング前と後の歯の色を記録しておく必要があります。「白くなったか分からない」「時間が経って色が戻った?」と、思われた時は医療ホワイトニングを受けた歯科医院の担当者に専門的色彩記録を確認してみてください。

6いよいよ、ホワイトニング

お待たせしました、ホワイトニング処置の開始です。

【ホームホワイトニングの場合】

カスタムトレーを使用するホームホワイトニングでは、ご自身専用のホワイトニング用トレーを作成するために歯科医院で歯の型取りを行います。後日、出来上がったトレーとホワイトニング剤をお持ち帰りいただきます。ご自宅で歯磨きを行ったのち、トレーにホワイトニング剤を注入し、一般的には1日2時間装着します。薬剤がトレーから溢れてきた場合はすぐに拭き取ってください。トレーを外した後は、歯の表面に残った薬剤を取り除くために、ブラッシングをしてください。トレーに残った薬剤は歯ブラシで取り除き、洗浄します。

ご自宅で
  • ブラッシング
    ブラッシング
  • ホワイトニングジェルの注入
    ホワイトニングジェルの注入
  • マウストレーの装着
    マウストレーの装着
  • ブラッシング&マウストレーの洗浄
    ブラッシング&マウストレーの洗浄

【オフィスホワイトニングの場合】

歯の表面のクリーニングを行った後、ホワイトニング剤が歯ぐきや唇に付着しないようにガーゼや専用の歯科材料で保護します。その後、歯の表面にホワイトニング剤を塗布し、光を当て、所定の時間が経過したら、薬剤を除去します。薬剤塗布・光照射・薬剤除去を同日中に最大3回まで繰り返したら、保護材を取り除き、歯面を磨いてホワイトニング剤を全て除去、洗浄します。

  • 歯のクリーニング
    歯のクリーニング
  • 歯肉の保護
    歯肉の保護
  • ホワイトニングジェルの塗布
    ホワイトニングジェルの塗布
  • 光を照射
    光を照射
  • 仕上げ
    5.仕上げ

ホームホワイトニング、オフィスホワイトニング共に専門的色彩記録によって、処置前後の色を比較し、効果の確認を行います。ご自身の歯がキレイになったか、どれだけ変化したかワクワク、ドキドキするタイミングです。担当者と一緒に確認し、ホワイトニングを継続するか、メインテナンスへ移行するか相談してみましょう。

医療ホワイトニングの種類とステップについて詳しくはこちら

7ホワイトニング後の注意点

歯の表面にはペリクルという保護膜があり歯を守ってくれていますが、ホワイトニングによってペリクルは除去されます。ペリクルがない歯の表層(エナメル質)は、酸に溶けやすく、また着色しやすい状態になります。そのため、ホワイトニング直後から数時間は、柑橘系のフルーツやお酢、ドレッシング、スポーツ飲料など酸性の飲食物の摂取を控えていただきます。またホワイトニング後24時間はコーヒー、お茶、赤ワイン、カレー、ベリー類など色の濃い飲食物の摂取や、色の付いた洗口剤の使用、喫煙は控えていただき再着色を予防します。「何を口にして良いの?」と悩んだ時には、歯より白い色、酸っぱくない飲食物を選んでみましょう。

8白さを維持するメインテナンス

ホワイトニングでキレイな歯を手に入れたら、その効果を長続きさせたいですよね?歯の白さを維持するためにはメインテナンスが非常に重要です。セルフケアにより、歯垢(デンタルプラーク)をしっかり落とすことが大切です。そして歯磨き粉は歯面を傷つけず、ステイン除去効果のあるタイプを選びましょう。歯科医院で行うプロフェッショナルケアではご自身では落としきれない汚れを除去し、歯の表面をツルツルにして汚れが付きにくい状態にします。ご自身で行っていただく毎日のセルフケアと、歯科医師・歯科衛生士による定期的なプロフェッショナルケアを組合わせることが白い歯を維持させる秘訣です。

9白さを取り戻すタッチアップ

しっかりメインテナンスを行なっていても徐々に歯の白さは失われていきます。残念ですがホワイトニングの効果は永遠ではないのです。日常的に口にする飲食物やメインテナンスの程度などにより、再着色(後戻り)のスピードには個人差がありますが、歯の色が気になり始めたら早めにタッチアップ(再ホワイトニング)することをご提案しています。ホワイトニング開始頃の歯の色に戻ってからタッチアップを行うと、充分な白さになるまでに回数や期間がかかりますが、少しの後戻りなら、少ない回数や短い期間で再び白い歯を取り戻すことが可能です。タッチアップはオフィスホワイトニング、ホームホワイトニングのどちらでも出来ます。タッチアップも皆様の生活スタイルに合わせた方法を選択し、歯の白さを取り戻しましょう。

10まとめ

今回は医療ホワイトニングで行うカウンセリング内容とホワイトニングの手順についてご紹介いたしました。ホワイトニングをきっかけにキレイに、そして健康になりたいと願う方は是非とも「どのような白さになりたいのか」「いつまでに白くなりたいのか」等のご希望を歯科医院へお伝えください。

このコラムがきっかけになり、皆様が安心して医療ホワイトニングを受けていただけたら嬉しいです。

  • 植松 裕美 先生

    日本歯科大学附属病院 歯科衛生科

    歯科衛生士

    植松 裕美先生

  • 資格・所属学会

    日本歯科審美学会 理事/認定士・ホワイトニングコーディネーター

    日本口腔インプラント学会 会員(関東・甲信越支部 代議員)/インプラント専門歯科衛生士

    ジャパンオーラルヘルス学会 理事/歯科ドック 認定歯科衛生士・予防歯科 認定歯科衛生士

    日本歯科保存学会 会員/認定歯科衛生士(う蝕予防管理)

    日本口腔衛生学会 会員

    日本歯周病学会 会員

    日本歯科衛生士会 会員

    略歴

    2003年

    鶴見大学 短期大学部 歯科衛生科 卒業

    2003年

    昭和大学歯科病院 勤務

    2004年

    開業医 勤務

    2007年

    鶴見大学歯学部附属病院 勤務

    2009年

    開業医 勤務

    2011年

    鶴見大学歯学部附属病院 勤務

    2012年

    日本歯科大学附属病院 勤務