200万年前に絶滅したはずの「メガロドン」が目を覚ました―これは、2018年9月7日から上映が始まった『MEG ザ・モンスター』というハリウッド映画のキャッチコピーだ。人がまだ踏み入れたことのない深海で発見された巨大な人食いザメ。1970年代にヒットした映画『ジョーズ』のようなドキドキ感のあるアクションコメディ映画だ。いわゆるB級映画ではないので、人が八裂きになるような凄惨なシーンがなくて観やすい。人食いザメ、いわゆる人を専門的に食べるサメは映画の中だけの話、と割り切って観てみれば、「人食いザメはいません」と常日頃から主張しているわたしでも楽しめる映画だった。主演は『ワイルド・スピード』シリーズでタフガイぶりを見せつけるジェイソン・ステイサム。ストーリーも最後まで期待を裏切らない。今年オススメのサメ映画である。
メガロドンは歯しか見つかっておらず、その復元図は、しばしばホホジロザメと似ている。実際、サメの仲間を含む軟骨魚類に関しては、エナメル質等でできている歯と楯じゅんりん鱗以外はすべて軟骨であるため、全身の骨格まで化石に残らない例も多い。つまり、どのような姿形をしていたのかは想像の域を出ない。彼らの歯は大きいと手のひらサイズにもなり、二等辺三角形で厚みがあるのが特徴的だ。ホホジロザメの歯も二等辺三角形であり、似ているとする説もあるから(諸説あります)、復元図が似てしまうのかもしれない。
日本でもメガロドンの歯は見つかっており、昔の人はこれを「天狗の爪」と呼んでいた。形が良いものや鋸歯がしっかり残っているものになると、コレクターの間で数十万円の高値で取引されることもある。ちなみにメガロドンとは、古代ギリシャ語で「大きな歯」という意味を持つ。
わずか40年ほど前に、7mにも達するメガマウスザメが発見され、新種として記載された。これはプランクトンを好んで食べるので人を襲うことはないが、まだまだ謎の多い海では、もっともっと巨大なサメ「メガロドン」が現存していてもおかしくはない。大きな歯しか見つかっていない絶滅生物を空想するのは、ロマンを掻き立てられる。わたしのコレクションのひとつであるメガロドンの歯を改めて手にしてみたら、いつもよりずっしりと重たいような気がした。