iPS細胞とちょこちょこ動きで明ける平成26年


  新年早々、嬉しいニュースが飛び込んできました。image-20220510113540-1
  山中伸哉教授が率いる京大や大阪大などの共同研究チームが、アミノ酸やビタミンを加えた培養液を作って効率よく安全性の高いヒトiPS細胞を増やす方法を開発したことが、英国の科学誌に発表されたのです。これは創薬研究や再生医療の発展に直結する大きな快挙です。
  新たな培養法で作ったヒトiPS細胞は、神経伝達物質ドーパミンを産生する神経細胞のほか、インスリンを作る細胞や血液細胞に変化することも確認ずみ。これまでのマウスや牛の動物由来成分だと細胞の安全性や安定性にも問題がありました。

  先月20日には、遺伝子を使う作製法のほぼすべてをカバーするiPS細胞の特許を国内で取得し、現在、米国と欧州でも同様の特許を申請中だと京都大が発表しました。
  さらに、山中教授らは日本のiPS細胞を使った創薬研究が欧米より遅れていることにも危機感を持ち、難病を研究する全国の医師らと強力なネットワークを作ろうと提案しています。その一環として、新年度に完成する京都大の新研究棟を拠点にして全国の難病研究者が京大に滞在してiPS細胞を扱う技術を学べるようにするそうです。この費用は国の研究費用の他、患者さんや市民からも募っています。

  遺伝子という最先端技術のイノベーション、開発者の権利を守る法律、付加価値の大きい確固とした製品。山中教授らの一連の動向は、急速に超少子高齢化が進む極東の小さな島国である日本の大きな希望になります。

  話は変わりますが、年末の紅白歌合戦で瞬間視聴率の50%越えが二つも出ました。トリを務めた北島三郎が「まつり」を歌い終わった50.7%、次点が「あまちゃん」の能年玲奈が挨拶した場面の50.0%。
  奇しくも、長い歳月を芸能界で過ごしたベテランの花道と、家族や周りの人に応援されて新たに芸能界に飛び込んで行く若い人たちの姿が視聴者の共感を集めました。一芸を究めた人や「進路を決めて努力する青年、それを甘やかさずに応援する大人」という構図が、日本人の思う仕事の原点だからなのでしょう。

  ところで、巣ごもりブームの影響か、ある調査会社のデータによると約70%の人が年末年始で体重が増えるそうですが、皆様はいかがですか?
  ついたばかりの脂肪は落としやすいので、もし体重が増えていたら食事内容の調整に加え、マメに席を立ち、電車では座らず、エレベーターではなく階段を使いましょう。10分間の「ちょこちょこ動き(non-exercise activity thermogenesis)」は1000歩のウォーキングに相当します。これなら周りの人が喜ぶし、自分の消費カロリーも増えるしで、一石二鳥ですね。

  皆様とって元気で希望に満ちた年でありますように。

 

コラムニスト 鈴木 百合子

 

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