客観的データにもとづく咬合調整 ―デンタルプレスケール、オクルーザーを用いて―

GC CIRCLE No.82
はじめに

医科においては、ここ数年だけでも、CTやMRIや超音波などの画像診断装置の普及には目をみはるものがある。ところが、歯科においては、いわゆるME機器の普及は大変遅く、体を治すという同じ医療であるにもかかわらず、どんどん差がひろがっていくような気がする。
日頃の臨床において咬合にかかわる症例は多数におよぶ。ところが、いざ、診断に至るまでの資料には客観的な物は少なく、実際には、咬合紙などを利用して、経験と勘で治療を行ってきた。例えば、咬合調整を行うときも、この方法では、ほとんどが患者さん主体であり、定量的な調整がされているかどうかは、はなはだ疑問であった。
そこで、このデンタルプレスケールとオクルーザーを、習慣性咬合位における咬合状態を簡単な方法で、しかも多数の情報を得ることができるME機器として導入した。

デンタルプレスケール

Rタイプ
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Wタイプ
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オクルーザー
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症例 写真をクリックすると、それぞれの症例が表示されます。

症例1
インプラント
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62才、女性。35年間下顎総義歯で悩んでいた。上顎は天然歯。
症例2
顎関節症(開口障害)
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52才、女性。口が途中から開かない。そして、開くときに痛い。スプリント療法にて治療を開始し、その調整にオクルーザーを使用。
症例3
パーシャルデンチャーの装着
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63才、女性。古い義歯がすりへって噛みづらくなった。
症例4
歯列矯正
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12才、女性。歯並びを治したい。

終わりに
4症例以外にも歯周病などの咬合に関わるすべての治療に応用できると考えている。また、症例4の患者さんの父親は大学病院の整形外科医で、オクルーザー以外のデータは見慣れているようで興味を示していただけなかったが、オクルーザーのデータは大変興味をもって聞いていただけた。
いずれの患者さんにも、オクルーザーのデータは、インフォームドコンセントの道具としては、すばらしい結果をもたらすものと考える。

著者

村上 修一

栃木県宇都宮市開業