9月24日(土)・25日(日)の両日にわたり、札幌市・北海道大学学術交流会館にて「第38回日本歯科衛生士会学術大会」が開催され、800名を超える参加者がありました。 特別講演1題、講演・パネルディスカッション1題、口演発表17題、ポスター発表36題の発表が行われ、たいへん盛会でした。 特別講演は、愛知学院大学歯学部教授で日本歯周病学会理事長の野口俊英先生が「歯周病と全身疾患との関係-口腔の健康と全身の健康をめざして-」と言う演題にて、歯周病の病因論や治療法、病態に関する変遷についてお話されました。その中で大きく変化しているのが、歯周病の病因におけるリスクファクターの導入であり、局所のみならず全身との相互関係を確立するために、さまざまな有用の情報を蓄積することを目指した新しい歯周病学の分野「Periodontal Medicine」をご紹介されました。 講演・パネルディスカッションは、歯科医療研修振興財団理事で前鶴見大学短期大学部教授の宮武光吉先生をコーディネーターとして、「これからの歯科衛生士業務への提言」と言う演題にて4名の先生から講演いただきました。最初に日本大学歯学部医療人間科学教室教授で同学部附属歯科衛生専門学校長の尾崎哲則先生が、2004年3月実施の診療室における予防処置等の実態調査結果をもとに、歯科衛生士の予防業務に対する活動現場の実状を解説されました。次に、東京都東村山市でご開業の三上直一郎先生が、セルフケアの確立支援とプロフェッショナルケアでの健康維持について、そのバランスをどの様な割合で上手くとっていくのかについて報告されました。続いて、日本大学歯学部摂食機能療法学講座教授の植田耕一郎先生が、平成18年に改正される介護保険に「口腔機能の向上」と言う歯科にとっての柱となるべき項目が追加される事を受けて、要介護状態となるリスク因子の一つである上気道感染をいかに口腔ケアで予防できるか、歯科衛生士の責務が問われる正念場であると力説されました。最後に、東京医科歯科大学教養部助教授の中村千賀子先生が、歯科疾患の持つ特異性(命にかかわる疾患は少ない、発症の原因が多因子性の生活習慣である、緩慢に疾病が進行する)から本来は患者様自身が注意し、積極的に治療や予防にかかわるべきであるが、なかなかその責任を取ろうという人ばかりではないので、そこに自立した・成熟した人間としての歯科衛生士の登場が期待されているとお話しされました。 なお、日本歯科衛生士会学術大会は、平成18年度に学会設立に向けて準備を進めており、日本歯科衛生士会学術大会としての開催は今年が最後となりました。 |