9月20日(土)・21日(日)の両日にわたり、大阪府・大阪歯科大学楠葉学舎にて「日本歯科衛生学会 第4回学術大会」が開催され、1,300名を超える参加登録があり盛会でした。 「歯の健康力 フロンティア?食べる、話す、生きる力を支える口腔機能?」をメインテーマに、特別講演、シンポジウム、教育講演、市民フォーラム、会員発表プログラムとして口演発表97題、ポスター発表47題が行われました。 大会長は、社団法人大阪府歯科衛生士会の永井るみこ会長でした。
特別講演は、鶴見大学歯学部の花田信弘教授が「口腔機能とメタボリックシンドローム の関係」とのテーマにてご講演されました。メタボリックシンドロームの予防因子であり、リスクファクターとして、咀嚼回数との関連についてデータを示され、特に関連の高いとされる「早食い」については、その是正手段として「咀嚼法(一口30回の咀嚼)」が推奨され、内科においても肥満の治療法の1つとして位置づけられているとのことでした。また、歯周病の改善により、テニスコート6面分の血管内皮機能の改善がみられたとの報告も示され、歯科衛生士を中心とする多くの来会者は興味深く講演に耳を傾けていました。
シンポジウムは、「ライフステージからみた口腔機能の向上」とのテーマにて、発達期、学齢・青年期、成人・高齢期と分け、それぞれを、乳幼児における咀嚼器官の発達の特徴、学齢・青年期の口腔周囲筋の不調和におけるMFT(oral myofunctional therapy)からの咀嚼支援、成人・高齢期の摂食・嚥下障害への対応のための基礎知識とチームアプローチが、示され、最後に質疑応答が行われました。シンポジストは兵庫県立大学看護学部教授の坂下玲子先生、高橋矯正歯科クリニック歯科衛生士の高橋未哉子先生、わかくさ竜間リハビリテーション病院診療部長の糸田昌隆先生でした。
教育講演では、長崎リハビリテーション病院院長の栗原正紀先生が、「“口のリハビリテーション”のすすめ」とのテーマにてご講演されました。リハビリテーションとは、人間の尊厳を取り戻すもので、臓器別には語れない全人的領域である、との考え方から、“口のリハビリテーション”を展開され、口腔の3大機能(呼吸・摂食嚥下・構音)を重視し、チームアプローチにより口腔機能の回復から維持、そして、生活の質の向上を目指す取り組みをお話しされました。最後に、歯科衛生士の方々に、専門的技術を持ったチームの一員へ、そして、診療所から病院や地域へと活動の範囲を広げてほしいとのメッセージを贈られました。
次回の学術大会は、2010年9月19日(日)・20日(月・祝)に千葉市・国際能力開発支援センターにて、社団法人千葉県歯科衛生士会の岡部明子会長を大会長に開催される予定です。
会場・大阪歯科大学
受付風景
メイン会場・講堂
口演会場
ポスター会場景
展示会場