社会を元気にするキレイな笑顔


image-20220510111654-1新緑の葉に光る美しいツユ玉、雨上がりの空の天使の梯子。

  美しいものを見ると、心が和むのはなぜでしょう?
  「心と外見は繋がっています。病気や気持ちが沈むときでも、元気で明るいメイクをするといつの間にか元気になり、周りの人も安心してくれます」と言うのは、美容ジャーナリストの山崎多賀子さん。

  最近、抗がん剤で体毛が抜けたり肌が荒れたりしがちな がん患者さんのメイク レッスンを実施する病院が全国的に増えています。
  入院中や肌が過敏なときは無理ですが、病気で家族に心配をかけている人が元気なメイクをすることで、今日は体調がよさそうだと安心した家族も笑顔になる。抗がん剤投与中に職場復帰するケースでも、脱毛や肌のくすみをうまくごまかすことでスムーズに周囲の人に溶け込める。
  そういう理由であれば、今まで化粧する習慣のない人、就労している男性でさえ、メイクが役に立ちます。

  「素顔は真実、メイクは錯覚です。人間の目の錯覚を利用して、肌のくすみなどの問題を一つ一つ解決していきましょう」と語る山崎さんのメイク法は、高価な化粧品は不要で、合理的で自然な仕上がり。いわゆる年齢肌にも応用できます。今回は男女とも応用できるところだけご紹介します。

  まず、保湿剤をたっぷり使って顔全体をツヤツヤ肌に。表面積の大きい顔の肌をしっかり保湿するのが大切です。次に、睫毛(まつげ)の生えていた位置に黒いアイラインをひき、睫毛の影の分、太めにします。眉は自分の眉骨に沿ってラインを作ると自然に見えます。濃くなりがちな眉頭をぼかします。眉の色は黒でも茶色でも結構ですが、目力(めぢから)に直結するアイラインは絶対に黒がいいのだそうです。

  美容に関心を持つと生き生きするのは、がん患者さんだけではありません。化粧療法(メイクセラピー)はリハビリ期を中心に広がりつつあり、介護施設でもメイクやネイルケア、マッサージなどのサービスが増えています。
  精神科の患者さんはメイクで興奮してしまう場合があるので慎重に関わった方がいいと思いますが、介護の場は特にオススメです。

  手遊びや歌ばかりだと「幼稚園児のようでイヤ」とデイサービスの利用をやめてしまう人もいますが、ハンドケアやメイクならプライドを損なわず、家に閉じこもっていた人が外出したくなる効果もあるそうです。男性も、ボサボサの眉をほんの少し整えるだけで、見違えるようなイケメンに!

  キレイな笑顔はパワーの源。病気になっても、いくつ年齢を重ねても、ご自分が楽しくなる装いで、どんどん社会に出て来てほしいと思います。

 

コラムニスト 鈴木 百合子

 

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