あなたは冷やし飴派、それとも冷やし甘酒派?


image-20220510150546-1先日、京都で八坂神社に参詣したら、祇園祭が始まる前日の夕方だったせいか日本人の参拝客がほとんどおらず、境内に飛び交っていたのは中国語、英語、ポルトガル語。見慣れたはずの修学旅行の団体も、実は中国の高校生でした。

一方、門前のお茶や和菓子の老舗では、英語で商品説明する店員の姿も板についたもの。京都は生活の端々まで日本文化が根づく街。海外から来た観光客が、日本古来の文化にまで興味を持ってくれたら嬉しいですね。

私は子どもの頃、夏の京都の旅で飲んだ「冷やし飴」が大好きで、東京に帰ってからも祖母がよく作ってくれました。これは飴湯(麦芽水飴をお湯で溶き、生姜の絞り汁とシナモンを加える)を冷やしたもの。当時はシナモンが苦手だったので、わが家では冷やし飴に氷片とレモンの輪切りを浮かせます。

作り方はいたって簡単。麦芽水飴80gと水500ccを鍋に入れ、火にかけて溶かします。生姜汁小さじ3杯を加えて火を止め、あら熱がとれたら冷蔵庫で冷やします。このとき、お湯を煮立たせないのがコツです。

生姜の辛み成分ショウガオールが血行をよくし、胃腸の働きを活発にする上、抗酸化作用が高いので、夏バテ防止に最適です。ちなみにシナモン入りなら、シンナムアルデヒドの毛細血管の老化防止効果も期待できます。

さて、古都京都が「冷やし飴」なら、将軍のお膝元の江戸は「冷やし甘酒」。江戸時代から続く地下60mにある麹(こうじ)の室(むろ)を持つ、神田明神下にある甘酒の老舗では、夏の時期だけ、米麹で作った甘酒を冷やした「冷やし甘酒」と、かき氷の「氷甘酒」をメニューに加えます。

私のオススメは、かき氷のサッパリした口あたりと甘酒のトロリとした濃厚な味が一度に楽しめる「氷甘酒」。器は小さめですが、かき氷の下に甘酒がたっぷり溜まっていています。この店の甘酒は米麹の甘さなので、濃厚なのに後味がさっぱりした、不思議な食感です。

意外なことに、「甘酒」は夏の季語。銭形平次の時代にはウナギと並ぶ夏バテ防止の食品でした。栄養学から見ても、米麹にはアミノ酸、ブドウ糖、ビタミン、ミネラルなど、夏に不足しがちな栄養素が非常にバランスよく含まれています。先日、高名な食品発酵学の先生もあるTV番組で、夏場の栄養補給に冷やし甘酒を勧めておられました。

気象庁の発表によると、今夏も全国的に高温傾向が続くそう。身体に負担の大きい時期なので、こういうささやかな日々の栄養補給に加え、万一に備えてOS-1のような経口補水液を数本用意しておけば、安心でしょう。

 

コラムニスト 鈴木 百合子

 

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