症例3

症例3 床矯正と咀嚼訓練を併用した翼状捻転を伴う、叢生の症例の経過

主訴:前歯が曲がっているのを治したい。  初診時の年齢 8才1ヵ月 性別 女性
現症:上顎は相対捻転を伴う叢生。
治療方法:上顎の発育不全のため、スペース不足であるので、上顎を側方に拡大し、その後中切歯を前方に移動する。チューブによる咀嚼訓練を同時に行う。

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1 術前の正面。
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2 術前の左側面。
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3 側方拡大装置と口蓋面(鏡面)。
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4 側方拡大装置を装着した正面。
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5 側方拡大終了後の正面。前歯部に空隙を生じている。
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6 側方拡大終了後の口蓋面(鏡面)。前歯部の拡大にはファンタイブを使用した。
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7 前方移動装置を装着した口蓋面(鏡面)。
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8 前方移動後の口蓋面(鏡面)。
装置による動的期間は7ヵ月で、咀嚼訓練を併用することで、早期に咬合の安定が得られた。
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9 前方移動終了後の正面。
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10 前方移動終了後の左側面の咬合の状態。

オクルーザーの咀嚼機能の経時的結果

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A-1
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A-2
A:咬合面積、平均咬合圧力、咬合力
1:初診時  2:前方移動終了後


 
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B-1
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B-2
B:左右、前後咬合バランス
1:初診時  2:前方移動終了後

咬合面積は19.7mm2、咬合力は132N(約13kgw)で、これらの値は粥川の示す正常値を大きく下回っている。チューブとガムによる咀嚼訓練を治療開始と同時に指示した。7ヵ月の訓練の結果、咬合面積は59.6mm2、咬合力は324N(約32kgw)と共に増加して、良好な結果を得られた。

初診時の咬合バランスの左右差は21.2%であったが、咀嚼訓練の結果、左右差は2.4%に改善された。臨床結果で、このような正常な咬合を維持すれば、後戻りの可能性は減少する。