ジーシー製品の生産拠点である静岡県の小山工場では、歯を削った後の充填材や詰め物を固定する接着材、歯周病等によって失った歯槽骨を補うための骨補填材、インプラント（人工歯根）など、数百もの歯科材料を作っています。私は当工場の係長として材料技術開発チームを率い、製造コストを抑えながら高品質の製品を早く作れるよう量産工程の設計や改善に携わっています。ものづくりは製造コストを下げようとすると品質の低下が起きることがしばしばありますが、私がユーザー目線で品質を吟味した提案ができるようになったのは、若手のうちからさまざまな経験を積むことができたからだと、当時を振り返ってみても思います。
入社1年目に担当したのはインプラントの量産工程の改善でした。高い清浄度が求められる高度管理医療機器であるため、他製品よりも規格が厳しく設定されています。インプラントを学ぶことで歯科材料を作るための法規制を深く理解できた経験や、その後配属された研究所で製品配合を研究したこと、臨床現場を見学できたことなど、あらゆる経験から医師や患者さんの視点で歯科材料を考えられるようになりました。作りやすさを重視した工程を提案することが求められる立場ですが、品質のことも常に念頭におきながら業務に当たっています。

ジーシーは日本国内の歯科材料分野のシェアNo.1で、中でも生産拠点の小山工場では数多くの材料を作っており、日本国内だけでなく、世界中にも広く届けられています。そのため、量産工程の設計によって導入する設備は億単位の金額になることもありますし、低予算で会社の利益に大きく貢献できることもあります。私は2025年に稼働予定の新工場に導入する設備の選定責任者も務めていますが、このプロジェクトは小山工場の歴代投資額の上位に位置するため、やりがいがあるとともに新工場で導入設備が生産稼働している姿を見るのが楽しみです。
また、製造の仕事は、品質の担保とコスト設計が重要ですが、同時に、製造ラインで作業する方々が間違いなく安全に仕事ができるようにすることや、複雑な作業をできるだけ減らすことも必要です。自分が設計した工程でスムーズに量産が行われているのを見ると、この上ない達成感が得られます。